仙人草の咲く庭で

犬と一緒に散策する里山スケッチ。自然界のさまざまな存在や、見えない世界へと誘われる心のスケッチ、モノローグ

アカハライモリと白い蝶

先週の金曜日頃のこと。

やはり今日のように朝の散歩のときに雨が降っていた。

傘をさして散歩に出て、家に帰り着く一歩手前

足元で黒いものがうごめいた。

雨に濡れた道路とよく似た保護色?になっていて

よく分からなかったが、よく見たらそれはなんと

小さいアカハライモリだった。

アカハライモリは元々黒い色だから保護色とは言えないかもしれないが、

黒い色をしていること自体が保護色の役目を果たしていると

言えるかも知れない。

家の庭で時々見かけるアカハライモリのおよそ半分くらいの

サイズで、つまりそれは幼い個体なのだろうと思った。

一生懸命小さい手足を動かして、道路を横切ろうとしていた。

今まで意識したことはなかったが、私がそれまで見てきたアカハライモリ

おおよそ倍くらいの長さで、大人だったということなのかも知れない。

黒くて小さな生き物のお陰で、その日の朝の散歩も印象深いものになった。

珍しいと言えば、そのまた前の週、つまり先々週の

お天気の好い日に、いつもの溜池のあたりで数匹蝶々を見かけた。

そのうちの1匹は花の蜜を求めて水平方向に飛ぶのではなく、

どこまでもどこまでも空高く上って行った。

白っぽく見えたのでモンシロチョウと思っていたが、

色があったとしてもかなり離れていたので、

白っぽく見えただけなのかも知れない。

第一モンシロチョウが、というか蝶々そのものが

そんなに空高く上っていくところを見たことがない。

毎日のように観察していて、蝶々やトンボのような小さな生き物たちの

飛ぶ速度が、私が考えるよりも案外早いのだということを再認識した。

上昇していった蝶々もみるみる遠く離れて、あっという間に点になって

白っぽく霞んだ空に溶け込んで、見えなくなってしまった。

あんな蝶々は見たことがない。

明らかにあの蝶々は花の蜜を求めてはいなかった。

まるで空高く舞い上がることしかないみたいに、

かといって、使命感のような悲壮な感じはなく(当たり前?)

ただただ軽やかに、ひらひら〜と上昇していった。

蝶々が見えなくなった後、

あれは蝶々界のカモメのジョナサンだったのかも?と思った。

もしくはよく言われるアセンション???

当たり前のように繰り広げられる日常の世界に

ごくごく当たり前のように、何気ない装いでふわっと現れる不思議。

ギリシャ語で蝶々を意味するプシュケーは同時に霊魂の意味でもあるから、

もしかしたらあの蝶々は、誰かの魂が昇天しているところだった・・・

のかも知れない。もしそうだったとしたら、まさにそれこそAscension!

いやいや死んで昇天するのではなく、

現し身の間に、心身ともに軽くなって空も翔べるほどになったら、

どんなに気持ちいいだろう。

かつてのチベットの高僧は空を駆けることができたとか?(今も)

とめどなく想いの広がる朝の散歩、

やがて意識が目覚めて飛び立つ日がやって来るだろうか?

 *Ascension ・・・昇ること 昇天