仙人草の咲く庭で

犬と一緒に散策する里山スケッチ。自然界のさまざまな存在や、見えない世界へと誘われる心のスケッチ、モノローグ

ホセ・ベニチェ・サンチェス 2 〜植物のスピリット・メディスンより〜

José Benítez Sánchez in Wirikuta 1977

植物のスピリット・メディスン」第1章早々に登場する有名なアーティストでもありシャーマンでもあるホセ・ベニチェ・サンテス。著者のエリオットが自分の夢の中での体験が、いわゆる植物のスピリットと友情を結んだということなのかどうか確信が持てず相談した相手です。彼はエリオットの夢に植物のスピリットが現れたことを認め、植物のスピリットがヒーリングの手伝いをしてくれることを保証してくれた人物でした。病気の治療に限ったことではなく、彼らの部族の中で世界的に有名になったミュージシャンに音楽を教えたのも植物のスピリットだったと話しています。
第1章より後の章に出てくる話では、ホセや彼の祖父にスペイン語を教えてくれたのも植物のスピリットだったと語っています。これに関しては、私も直接アメリカ・インディアンのメディスンマンから聞いたことがあります。インディアンは白人化政策の中で、小さいうちに親から引き離されて寄宿学校に入れられ、そこでは英語だけを話すように強要され、部族の言葉で話すことを厳しく禁じられたという悲しい歴史がありました。メディスンマンの家系に生まれたその人物は、白人化政策の影響から免れるために、政府の人間に見つからないように、山奥に隠れて育てられたと話していました。どうやって英語を覚えたのかというと、スピリットが教えてくれたのだと語っていました。その時はどう受け取めたらいいのか、本当とも嘘とも思えず、ただ「ヘエ〜?!」と思うばかりでしたが、「植物のスピリット・メディスン」の中で同様のことが語られていたので、やはりそういうことがあるんだ、と確認した、というか、させられたと感じました。やっぱり、そういうことってあるんですねえ。

病気を癒すこと、言葉を話すこと、楽器を奏でることなど、スピリットはほぼ万能なんだなあ。凄いなあ〜って、馬鹿みたいに思います。現代社会に生きる私たちは、言語の習得、楽器演奏の技術の習得、病気の治療など、何にでも代価を支払って、教えてもらったり、治療してもらったりしていますが、お金で支払うというシステムが未発達の、もしくはお金が万能ではない世界に生きる人たちは、何らかの別の方法で習得するシステムを発達させたのかも知れないなあ、と思います。メディスンマンがスピリットに英語を教えてもらったからといって、私たちにもそれが出来るかというと、そんなに簡単な話ではなさそうです。スピリットから何かを学ぶためには、それなりの別の代価を支払わなければいけないんだろうな、それはそれで厳しい道に違いないと、改めて思い至るのでした。

ウイチョル族の鮮烈な色彩のアートを紹介しながら、彼らの文化や資源を守っていこうとしているWixárika Recearch Centerというサイトの中に、ホセ・ベニチェ・サンチェスを紹介したページ、彼のアート作品を紹介するギャラリーのページがあります。(*ちなみにWixárikaというのはウイチョル族のことです)彼らの作品を買うことで、彼らの生活や文化を守る手助けになります。興味のある方はページを開いて見てみてください。

Wixárika Recearch CenterWixárika Research Center | An Online Archive of Huichol Art, History, and Culture

☆ホセの生い立ち・経歴についてwixarika.o

☆ホセのアート・ギャラリーThe Art of José Benítez Sánchez | Wixárika Research Center