仙人草の咲く庭で

犬と一緒に散策する里山スケッチ。自然界のさまざまな存在や、見えない世界へと誘われる心のスケッチ、モノローグ

夏至の頃の畑仕事・薬草仕事 その2

 

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ユキノシタ

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ユキノシタの花

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残り少なくなってきたドクダミの花

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ドクダミユキノシタヘビイチゴのチンキ

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ドクダミ

 今年の目玉は何と言ってもユキノシタのチンキ。チンキというのはtincture(ティンクチャー)という英語に由来する言葉で、昔、小学校なんかで転んでケガをしたり、軽い傷をした時には、ヨードチンキとか赤チンキなるものを塗ってもらった(塗られた)覚えがある人は結構いるんじゃないかな?(昭和世代限定)わざわざ保健室まで行かなくとも、ヨードチンキや赤チンキというのは、どこの教室でも一般家庭でも当たり前に備えてあるものだったように記憶している。それほど広く普及していたのに、最近は見かけなくなってしまったが、あの方達はいつ消えてしまったんだろう?それとも私が目にしないだけで、今でも健在なのかな?

ヨードチンキのチンキとドクダミユキノシタのチンキとは同じ言葉だと言いたかっただけなのに、思わず話が長くなってしまった。^^;

それにしても、ユキノシタは私の記憶に鮮明に残っている効き目が確かな薬草のひとつ。あれはたしか小学校3年の秋の遠足の頃だったと思う。右足の太腿の付け根に近いところに、突然イボができて、それが気になって爪で取ろう取ろうとしていたら、バイ菌が入って(一般的にはこういう表現をしますよね?もう少し知的な言い方をすると、化膿して)、右足の膝から上全体が腫れ上がって、遠足の時も足を引きずりながら歩いていたような気がする。

気がするというのは、私の記憶の中では確実にそうなのだが、普通に考えてみると、そうなるまで放っておいたのだろうか?しかもそんな状態で遠足に行ったというのも、うちの親も学校の先生も随分呑気だったんだなあ・・・?というそこはかとない疑問、謎が浮かぶからなのだが(当時は皆のんびりしていたということなのかも知れない)、ともかくそれはそうだったということで話を進めよう。

その後、場面は何故か静岡県熱海市に住んでいた親戚の家。そこに太腿が腫れて足を引きずっている私がいて、親戚の叔母さんが庭からユキノシタを摘んできて、それを炙って化膿したところに貼ってくれた。すると何とあっという間に足の腫れは引いて、私の足は元通り!ただイボのあったところは醜い黒っぽい痕が残って、私は爪痕を残すとはまさにこういうことだという生きた証になってしまった。😭

しかし、ここでもまた謎がひとつ。その頃、私は愛知県に住んでいて、足が腫れていたのは秋の遠足の時。親戚の家は静岡県。その当時の私は冬休みや夏休みの度に、熱海の親戚の家に遊びに行っていたので、秋の遠足(10月か11月)の後訪ねるとしたら、冬休みということになる。仮に秋の遠足が11月の中旬頃だったとしても、親戚の家を訪ねるのはそれから1ヶ月後のことになる。その間、私はずっと腫れた足を引きずりながら通学していたのだろうか?そんな記憶はないし、さすがにそれはないんじゃないだろうか?謎は深まるばかり。。。

何か私の記憶の中にタイムラグがある。たしかなのは足が腫れて、小学校の遠足の時に足を引きずって歩いていたこと。親戚のおばさんがユキノシタを炙って化膿していたところに貼ったら、あっという間に治ったということ。そこは間違いない。

そして何よりも鮮明なのは、本にも出ていないユキノシタの薬効の素晴らしさ。(耳が痛い時に貼るといいというのは読んだことがある)そしてそのことを知っていた(たしか)栃木県の農家の出身のおばさんの薬草の知識。知識というよりは、たぶん生活の知恵として、その当時の田舎の人は誰でも当たり前のことのように知っていたのだろう。私の父も、子供の頃はケガをしたら、その辺に生えているヨモギをむしって、傷のところに当てて治したもんだと話していた。そんなことで病院に行くとか、薬を塗るという発想はまずなかったようだ。住んでいる環境自体が薬箱みたいなものだったのだろうなと想像する。

私の父はそれは貧しかったからだと言っていたが、大したこともないケガや病気で、わざわざ病院に行ったり、訳の分からない薬を買ったりするよりずっと豊かな暮らしだったと、私は思うのだがどうだろう?

ユキノシタドクダミ、それからここにはないがヨモギやビワの葉(実も)など、身近なところにスグレモノの薬草がいくらでも見つかる。そんな訳で、引っ越した当初に山で見つけたユキノシタを庭に移植しておいた。写真の左から2番目の色が薄くなっているユキノシタのチンキは、夏至の日に庭から集めたユキノシタを漬けたもので、写真を撮った時点で1週間経過したもの。一番上の写真と二番目の写真は、いつも散歩に出かける裏山の、ほとんど誰も目に留めないのではないかと思われる日陰に見事に群生していたユキノシタ。緑色が鮮やかなチンキ(左から3番目と4番目)はそこで集めたユキノシタから作ったもの(写真は漬けた当日)。深い緑と真っ白な花が清冽な印象でいかにも薬効がありそうな感じがするのは先入観のせい?

緑色のユキノシタのチンキの隣の白っぽいのとその隣の瓶(右から2番目と3番目)は、ドクダミの花を漬けたもの。いちばん右の小さな瓶に入っているのはヘビイチゴ。集めた時期が遅かったので、お試しといった感じだが、聞いた話では虫刺されにいいそうだ。

こんなことをしていると、昼寝で大半の時を過ごしてしまいがちな私の生活も俄然忙しくなる。使えるようになるまでには時間がかかるものの、やったことがすぐに形になって目に見えるのは満足感もあり嬉しいが、あまり忙しくなるのもどうかと思うので、程々にしておこうと思う。やっているとこれは売れるんじゃないかと、ついつい欲どおしくなってくる自分の心理も見えてきて、いやいや売るほどは無理と言い聞かせている。^^