ハチが草むらに入って行くのを見かけた時と前後して、
ハチにちょっと意地悪をしたことがあった。
少しずつ増殖していく巣を見て、このままどんどん増え続けて
大きな巣になったら、それはそれでちょっと困るなあという思いが
頭をよぎって、ちょっと悪戯をして洗面所の窓を締めてみた。
そしたら案の定外に出た時に、窓の外で右往左往して
どうしよう?と困っている風情のハチを見かけた。
これはやはり窓を開けて巣作りを見守るしかないと観念して、再び窓を開けた。
もうひとつそうした自然界の生き物が凄いと感じるのは、
人間(私)のように時間に支配されていないところだ。
ハチを観察していると日没前から巣に戻って、夜が明けてからもお日様の
光りで空気が温かくなるまでの長い間、巣にじっとしている。
ただ単に巣にしがみ付いているだけなのかも知れないが、
観察しているうちに段々と、私の目には大切な卵の入った巣を
いかにも愛おしげに守っている母の姿に見えてきた。
時間にしたらどれくらいか、季節や気温、日照時間によって変わると思うが、
私が観察をしていた5月中旬〜下旬あたりの時期には、半日以上、
大雑把に言って、16〜7時間くらいは巣の外側でじっとしていたと思う。
人間じゃないから、例えばテレビやインターネットなどの娯楽がないとか、
そういった思考が入るわけではないので、必要なことを必要に従ってやっている
だけで、それが当たり前なのだという思考も勿論なく、まさに自然の命じるままに
生きているだけなのだろう。
ただすぐそばで観察している私にはそれが凄い!と映る。
私にはそれだけの時間、じっと堪えるだけの忍耐力はないと思う。
人間はとても偉そうにしているけれど、このハチほどの忍耐強さや
ひたむきさを持っているだろうか?
人並外れた忍耐力や継続力、ひたむきさなどハチと比べるまでもなく、
持っている人もいることだろう。
なので、これはあくまでも私個人の視点から見た感想にすぎない。
兎に角、何も語らないだけに、凄さを感じてしまうのだった。