仙人草の咲く庭で

犬と一緒に散策する里山スケッチ。自然界のさまざまな存在や、見えない世界へと誘われる心のスケッチ、モノローグ

小さな死 その2

ハチが草むらに入って行くのを見かけた時と前後して、

ハチにちょっと意地悪をしたことがあった。

少しずつ増殖していく巣を見て、このままどんどん増え続けて

大きな巣になったら、それはそれでちょっと困るなあという思いが

頭をよぎって、ちょっと悪戯をして洗面所の窓を締めてみた。

そしたら案の定外に出た時に、窓の外で右往左往して

どうしよう?と困っている風情のハチを見かけた。

これはやはり窓を開けて巣作りを見守るしかないと観念して、再び窓を開けた。

 

もうひとつそうした自然界の生き物が凄いと感じるのは、

人間(私)のように時間に支配されていないところだ。

ハチを観察していると日没前から巣に戻って、夜が明けてからもお日様の

光りで空気が温かくなるまでの長い間、巣にじっとしている。

ただ単に巣にしがみ付いているだけなのかも知れないが、

観察しているうちに段々と、私の目には大切な卵の入った巣を

いかにも愛おしげに守っている母の姿に見えてきた。

時間にしたらどれくらいか、季節や気温、日照時間によって変わると思うが、

私が観察をしていた5月中旬〜下旬あたりの時期には、半日以上、

大雑把に言って、16〜7時間くらいは巣の外側でじっとしていたと思う。

人間じゃないから、例えばテレビやインターネットなどの娯楽がないとか、

そういった思考が入るわけではないので、必要なことを必要に従ってやっている

だけで、それが当たり前なのだという思考も勿論なく、まさに自然の命じるままに

生きているだけなのだろう。

ただすぐそばで観察している私にはそれが凄い!と映る。

私にはそれだけの時間、じっと堪えるだけの忍耐力はないと思う。

人間はとても偉そうにしているけれど、このハチほどの忍耐強さや

ひたむきさを持っているだろうか?

人並外れた忍耐力や継続力、ひたむきさなどハチと比べるまでもなく、

持っている人もいることだろう。

なので、これはあくまでも私個人の視点から見た感想にすぎない。

兎に角、何も語らないだけに、凄さを感じてしまうのだった。