仙人草の咲く庭で

犬と一緒に散策する里山スケッチ。自然界のさまざまな存在や、見えない世界へと誘われる心のスケッチ、モノローグ

グアダルーペ・ゴンザレス・リオス 2 〜植物のスピリット・メディスンより〜

Journey of the Dead, by Guadalupe González Ríos

「十二才のそのときから、私はそれ以上父の手を煩わすことはなかった。自分一人で山への巡礼を始めた。六年間毎年通って、次の六年間、自分の誓いを守った。それからまた六年間、私たちが今座っているこの場所に通って、その後の六年間、誓いを守った。修行を始めて四、五年経つまでに、私は父が言っていたことが起こったのが分かった。父は、鹿がやって来て私に身を捧げてくれるだろうと言っていたのだ。その後、私の手に触れてもらいに来た者は皆癒され、元気になった。それはまさに父がそうなるだろうと言っていたことだった」

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 グアダルーペ・ゴンザレス・リオス(通称 ドン・ルペ)の父親が彼に語った言葉の中で感銘を受けたのは、繰り返しになりますが、この部分。

『息子よ、話がある。私はただの貧しいインディアンだ。私が死んでもおまえは家畜を受け継ぐことはない。家や金を受け継ぐこともない。だが、おまえは癒しと知恵の道、一生を通じておまえを支える道を受け継ぐことになるだろう』。私は父の贈り物を受け入れ、それでいいと言った。『おまえに私の心を贈ろう』と父は言った。『おまえは私の心を受け継ぐ』そして、父は私に父の秘密を注ぎ込んだ」

ドン・ルペの父親の『おまえに私の心を贈ろう』『おまえは私の心を受け継ぐ』と言う言葉。それは家や金などの目に見える財産ではないが、癒しと知恵の道、一生を通じておまえを支える道を受け継ぐことになるのだと。そしてそれに対する息子のドン・ルペも、それでいいと言い、そして父親は彼に秘密を注ぎ込んだ、とあります。親子の間で秘密でかつ確かな伝授が行われたということですよね。

親ガチャなんていう言葉が一般的に認知される(私はごく最近まで知りませんでしたが。。。)現代日本では考えられない、あるいはほぼ不可能なやりとりだとは思いませんか?

親の財産や地位が子供の将来までも決めてしまう。金持ちの親を持てばラッキー、そうでなければアンラッキーで将来的な展望は限りなく暗い。。。

身分が固定されていた封建制の時代ならば兎も角、逆に現代になればなるほどお金や物の力に支配される度合いは強くなっている、世界観が極端に狭められてしまっているような気がします。若者の自殺も増えているとよく耳にします。何不自由ない豊かな生活を送っているはずなのに。。。「植物のスピリット・メディスン」の中でも、この豊かさの中でゾッとするほどの精神の貧困さはどうしたことだろう?という問いかけがありましたが、本当にどうしたことでしょう?私たちは一体どこで道を踏み違えてしまったのでしょう???