仙人草の咲く庭で

犬と一緒に散策する里山スケッチ。自然界のさまざまな存在や、見えない世界へと誘われる心のスケッチ、モノローグ

夏の終わりのモンキアゲハ       

秋分の日の翌日(9月24日)

左手に溜池のある坂道へと下って行く農道の曲がり目当たりに、

モンキアゲハがフワ〜ッと現れた。

7月頃に見かけて以来、久々の登場でおそらく

これが今季見る最後のモンキアゲハになりそうな気配を感じた。

蝶々はそもそも力強く飛ぶ生き物ではないが、

それにしてもどことなく弱々しく、生命力に

そこはかとない翳りがあるように感じられた。

残り少ない生命エネルギーを振り絞るかのように、

溜池の奥の林へと消えて行った。

果たして、それ以来、今日までモンキアゲハの姿を見てはいない。

夏真っ盛りの時には、朝夕決まって鳴いていたヒグラシも、

いつのまにか完全に消滅したと思っていたら、

最近細々と鳴いている声を聞いたり、

終わったと思っていた夏が、まだ此処にいるよと言わんばかりに、

弱々しいながらもフッと現れる。

黄昏に夕焼けの茜色が徐々に色褪せながら、

時折勢いを増したように朱くなり、すぐにまた急速に色を失っていく。

そんな様子にも似ていると思った。